・・2019.1.26 毎日新聞社会面・・

第91回センバツの出場校が25日に決まり、21世紀枠で石岡一

(茨城県石岡市)が初めて選出された。農学校が前身で、部員の4

割が農業系学科で学ぶ。昨夏の甲子園を沸かせた秋田県立金足農の

準優勝に刺激された選手たちは春夏通じて初の大舞台での健闘を誓った。

グラウンドで大和田俊一校長から21世紀枠での出場決定を伝えられると

酒井淳志主将(2年)は「いつも協力してくれるOBや地域のために甲子園

でいいプレーを見せたい」と力をこめた。

石岡一は1910年に新治郡立農学校として開校し、49年に現校名になった。

普通科と農業系学科があり、ほぼ地元出身の野球部員49人のうち22人が

園芸科と造園科で野菜栽培や公園づくりなどを学んでいる。

実習の授業が多く、平日放課後の練習開始時間に全員そろうことはめったにない。

2時間~2時間半と限られた時間を有効に使うため、少人数の3グループに分かれて

打撃や投球などのメニューをこなす。照明が少なく、日が暮れると、内野はバッティング

外野はランニングなどと分けて無駄がないよう工夫。着実に力をつけ、昨秋の県大会で

4強入りした。

造園科で学ぶエース右腕の岩本大地投手(2年)は、金足農からプロ野球・日本ハム入り

した吉田輝星投手と自分を重ね合わせながら鍛錬してきた。「甲子園で自分らしい投球を

したい」と意気込む。2009年に就任した川井政平監督(44)は、足りない部分を補う

メニューを自分で考えさせるなど選手の自主性を重視し、成長を促してきた。県立竜ケ崎一

時代に甲子園でプレーした川井監督は「選手をあの舞台に立たせてあげたい気持ちがあった。

最良の結果になった」と涙ぐんだ。

甲子園は地域住民にとっても長年の悲願だった。地元への恩返しの気持ちも抱きながら、

「地に足をつけ全力でプレーして1勝したい」と川井監督は目標を掲げた。