石岡一唯一の女子選手、「兄の分まで」 (スポーツBURU WEB)

・・スポーツBURU WEB3月19日付記事より・・

3月上旬、石岡一のグラウンドでスクワットをする集団の中に、ひときわ小さい部員がいた。

「1,2,3,4!」。少し高いかけ声を出すのは、野球部唯一の女子選手、浜田芽里(めりい)

さん(2年)。肩に乗せた重りは男子と同じ20キロある。規定で公式戦には出られないが、

甲子園をめざして、共に、汗を流してきた。

浜田さんは少年野球のコーチをしていた父の影響で、小学1年から軟式野球を始めた。盗塁や

バントなどの小技を行かし中学ではレギュラー。女子野球部がある高校に進学するか最後まで

迷った。その高校は県外にあり、通うとなると親の負担も気になった。

決め手になったのは、2人の兄が石岡一野球部だったこと。今でも練習に付き合ってもらう4

学年上の兄とは、2016年春の県大会で2位になり、関東大会に出た時の主将。2学年上の

下の兄とは、入部すれば一緒に練習できる。県外に通う通学時間を練習に回し、兄と同じグラ

ウンドに立ちたいと、同校を選んだ。

身長154センチでポジションは二塁手。高校でも、練習は男子とほとんど同じメニューをこ

なした。練習の合間、マネジャーが用意した炊きたてのご飯にふりかけと卵をかけてかきこむ。

小学校の頃から男子の中でプレーしているので、自分の中で違和感はない。

一方、打球の飛距離や遠投の距離、体力で差を感じることも増え、比較して落ち込むことも。

昨秋の県大会、仲間が2年連続甲子園出場の土浦日大や優勝候補の明秀日立を次々と撃破。

吹奏楽部の応援が球場いっぱいに響いた。入学時に割り切ったはずなのに、うらやましかった。

でも、練習試合に出られた時のうれしさは、そのくやしさを上回る。「がんばれよ!」と声を

かけられると力がわく。川井政平監督(44)は、高野連の規定で公式戦に出られないとわか

った上で練習に向き合う姿に「野球が誰よりも純粋に好きというのが伝わってくる」と話す。

浜田さんは目標をこう定めた。「飛距離より短打。どのコースでも打ち返せるようになる」。

高校でプレーを磨き、女子プロ野球に進むのが夢だ。

23日に開幕する選抜高校野球大会の開会式では、入場行進の先導役を務める。1番上の兄か

らは「兄弟で誰もかなえられなかった夢。楽しんでこい」と声をかけられた。「出られなかっ

た選手の分、兄の分まで、甲子園の土を踏みしめたい」 (高井里佳子)

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