・・毎日新聞3月20日付記事より・・
◇選手の体調管理に腐心 後輩に同じ失敗させない
連日、厳しいトレーニングに励む選手の体調管理に腐心している人がいる。石岡一野球部OB
でトレーナーを務める西野雄起さん(27)だ。
理学療法士の資格を持ち、現在は水戸協同病院(水戸市宮町3)のリハビリテーション部に勤
務。高校時代、故障に悩まされた経験がある西野さんは「後輩たちに同じような苦い思いはさ
せたくない」と、忙しい仕事の傍ら、グラウンドを訪れ選手の体作りを支えている」。
高校時代は投手だった。2年時の2009年に赴任した川井政平監督(44)について「自分
がどのようにしたらチームに必要な選手になれるのかを教えてくれた。野球観が変わった」と
振り返る。そんな監督に「恩返しがしたい」と、4年ほど前から週末になるとグラウンドに顔
を出している。
西野さんは「自分の体をしっかり見つめ、正しい体の使い方をしなければ疲労がたまりやすく
けがにつながる」と選手たちを指導。肩甲骨の可動域を広げたり、体幹を強化したりする独自
の練習方法を伝えている。投手陣だけでなく、野手の体のケアも担当。自宅でできるストレッ
チの仕方が分かる写真や説明を無料通信アプリ「LINE」(ライン)で選手に直接送ることもあ
る。周囲からの信頼は厚く、「もっと球速を速くしたい」「打球をもっと遠くへ飛ばしたい」
などと指導を仰ぎに来る選手が後を絶たない。
甲子園を目指した西野さんだが、2年夏ごろから肩や腰の故障に悩まされ、約3カ月間、ボ
ールすら握れない時もあったという。当時、治療を受けた接骨院の先生に憧れ、理学療養士
の道に進むことを決意した。「高校生は体のケアに対する考え方が未熟で、ストレッチなど
もおろそかにしがち。自分も高校時代に知識があればもっと力が付いたのでは」としみじみ
話す。
だからこそ、後輩に同じ失敗はさせたくない。西野さんが黒衣として、後輩たちに注いでき
た愛情と、重ねてきた地道な努力はチームの底上げに着実に結びついている。
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阪神甲子園球場で23日に開幕するセンバツ大会に挑む石岡一。第3部では、選手たちを陰
に日なたに献身的にサポートする人たちを3回にわたり紹介する。