・・エールスポーツ4月29日付コラムより・・

「独り相撲を取ってしまった」岩本大地は肩を落とした。

石岡一にとってセンバツ以降初の公式戦となった春季茨城大会2回戦、甲子園で輝きを放った

エースの姿はそこにはなかった。初回から制球が定まらず、7つの四死球を出して自らを苦し

めた。そして4回と5回に連打を浴び、5失点を喫してマウンドを下りた。

「調子が悪いならば、悪いなりに試合を作ってもらいたかった」と川井政平監督。しかし、

「もっといいボールを投げようという意識が強くなってしまった。バッターと勝負するのでは

なく、自分との戦いになってしまった」(岩本)。立て直そうとすればするほど、投球は単調と

なり、アウトコースを狙う速球を水戸商業打線にとらえられた。

「センバツでも勝ちきることができなかった。勝ちきることが自分の課題。今日も僅差の勝負

を想定していた中でいかに粘り強く耐えられるかがポイントになると思っていたけど、制球が

定まらなかった。自分の力のなさを痛感しました」と岩本は唇を噛んだ。

「精神面は夏に向けての課題。ここでそれが出たことはよかったと思います」と川井監督が言

うように、”春”がゴールではない。この悔しさを糧にして、夏に向けてさらに進化していくし

かない。

再びあの場に立つために、岩本は自らに言い聞かせるようにこう口にした。

「このままでは夏は厳しい。自分がもっと成長しないと甲子園には行けない。夏大会まで2か

月しかないけど、死ぬ気で練習しないといけない」